醤油の歴史・分類

しょうゆの奥深い歴史と種類についてお勉強しましょう!

醤油の歴史

 しょうゆの起源は今から3000年以上も前の中国の「醤(ひしお)」がその原形であると言われています。大豆を原料とする醤は、当時の塩蔵品で原料により穀醤(こくびしお)、肉醤、草醤(くさびしお)に分かれ、草醤が今の漬物、肉醤は塩辛類、穀醤がしょうゆのようです。 鎌倉時代には溜(たまり)が現れました。みその製造過程でできる桶の底にたまった液汁がおいしく、煮物に適することを発見し、これが塩分をおいしく摂取する手段としてのしょうゆのはじまりとされています。
 またこれとは別に鎌倉時代には味噌の樽の底にたまった汁がおいしいことを発見し溜(たまり)が誕生しました。これが現在のたまりしょうゆのルーツです。
 日本ではじめてしょうゆ(醤油)の文字が現れたのは室町時代で、製法や品質についてはほとんど示されず、秘伝口授のようでした。しょうゆが現れる前までは、垂(たれ)みそ、薄垂(うすたれ)、溜などの清醤が使われていましたが、現在のしょうゆの原型ができたのは、戦国時代以降で、日本の風土と日本人の知恵で日本独自の調味料のしょうゆが全国各地で作られるようになりました。
しょうゆは今や日本だけでなく世界の調味料として定着し活躍しています。
(資料:海老根英雄・千葉秀雄共著 味噌・醤油入門より)

醤油の分類
しょうゆには大きく分けて次の5種類があります。
こいくちしょうゆ

 しょうゆの生産量の約85%を占め、普通しょうゆというとこのこいくちしょうゆをさし、あらゆる用途に使用されています。原料は大豆とほぼ等量 の麦を加えたもので、原料の大豆は大豆より油を取り除き加工された「脱脂加工大豆」がもちいられますが、大豆をそのまま使用した丸大豆しょうゆが人気になってきています。

うすくちしょうゆ  料理の素材を生かす野菜や白身の魚などの料理に愛用されています。製造法はこいくちしょうゆとほとんど変わりませんが、しょうゆの色をうすく仕上げてあるため、濃度の高い食塩で仕込み、仕上げに甘酒を加えるのが特徴です。
たまりしょうゆ

 しょうゆの原点ともいえるもので、大豆を主原料として作られているので、独特の香味があり濃厚な味がが特徴です。さしみや照焼き、煮物などに使うと赤味をだすので、佃煮やせんべいの加工用に使われます。

再仕込みしょうゆ

 仕込みの食塩水のかわりに生(なま)しょうゆを使って二度仕込みを行うので、さいしこみしょうゆといわれています。別 名甘露しょうゆともよばれ、味が濃厚でさしみや寿司などに使われます。

しろしょうゆ

 たまりしょうゆとは逆に小麦が主原料として作られています。うすくちしょうゆよりもさらに色は薄く糖分の高いしょうゆです。うどんの汁や吸い物、なべ料理などの汁に使用されます。

その他の分類
減塩しょうゆ

 こいくちしょうゆを特殊な方法で食塩分だけを約半分(約9%以下)減らしたしょうゆです。健康に気を使うためばかりでなく、つけじょうゆにも適しています。

しょうゆの分類と塩分量

しょうゆを使用する際の目安としてみてください。

(すべて100g中の塩分量)

種 類 塩分量 違 い
こいくちしょうゆ 15.0g オーソドックスなタイプのしょうゆ
うすくちしょうゆ 16.3g 塩を多く加え製造し、しょうゆの熟成をおさえたもの
減塩しょうゆ 8.2g 100g中の塩分量が9%以下のもの
有機丸大豆しょうゆ 15~16.3g 大豆をまるのまま原料とし最後に油脂をぬいたもの
たまりしょうゆ 15.0g 小麦をほとんど使わず大豆を主原料としたもの
生しょうゆ 15.0g 火入をせず、微生物をろ過したもの
だししょうゆ 11~15g しょうゆにだしを加えて加工したもの
ぽん酢しょうゆ 9.0g しょうゆに柑橘果汁と酢を加えて加工したもの

しょうゆなんでもQ&A

こんなこと知りた〜い!なんてあればメール下さい!!

Q:しょうゆの容器別による保存期間はどれくらい?

A:しょうゆの容器別による保存期間は下記表のとおりですが、とくに、開栓後はできるだけお早めに使用して下さい。

(注)しょうゆを開栓し使用後は冷蔵庫に保管するのが最適であり、色の変化も少ないので注意して使用して下さい。


種  類

容  器
開栓前
開栓後
保存場所
温度
期間
保存場所
こいくち
うすくち
ペットボトル
直射日光を避け常温で保存して下さい。
常温
約1年
開栓後は冷蔵庫に保存し早めにお召し上がり下さい。

Q:しょうゆの容器別による保存期間はどれくらい?

A:しょうゆは新鮮さがいのちです。開栓後は風味の変わらぬ おいしいうちになるべく早くお召し上がり下さい。特にうすくちしょうゆの場合は色合いも大切なので開栓後はできるだけお早めにお使い下さい。

種  類

容  器
開栓前
保存場所
温度
期間
こいくちしょうゆ

ガラスびん


直射日光の当たらない温度の低いところ。
常温
2年
うすくちしょうゆ
常温
1年
こいくちしょうゆ

ペットボトル
常温

1年
うすくちしょうゆ
常温

Q:賞味期限と賞味期間の違いは?(品質表示の見方)

A:現在は、賞味期間ではなく賞味期限の表示制度になっています。
賞味期間は製造年月日から◯◯日等と表されるもので、この期間が過ぎたからといって直ちに食べられないものではなく、「おいしく食べられる」期間を示したものです。賞味期間は「期間」ですから、製造年月日と併記して表示されていました。
賞味期限は表示されている年月日等まで「おいしく食べられる」日であり、賞味期限は「期限」ですから賞味期間とは異なり製造年月日表示の必要はありません。
(平成7年4月1日以降、製造年月日から期限表示に移行しました)

Q:うすくちしょうゆは食塩分もうすいの?

A:うすくちしょうゆは兵庫県地方で生産されていましたが、最近は全国各地で生産されています。うすくちしょうゆという名前から、色や食塩分がうすいと思われていますが、こいくちしょうゆより100ml中に食塩分は1%程度多いのが普通 で、つけ、かけしょうゆには向いていません。
 うすくちしょうゆの特徴は、お料理に使用する材料のもつ独特の美しい色彩 や味わいを大切にしながら調味し、盛り付けてゆく日本料理の伝統的な美しさを生かして、上手に使用して頂くようお願いします。

Q:しょうゆを開栓して使用していると、徐々に色が濃くなるのはどうして?

A:しょうゆを開栓すると、空気、湿度、日光などにより、しょうゆ中のアミノ酸(うまみの成分)と糖分(ぶどう糖など)が化学反応を起こして、メラノイジン(褐色物質)を生じます。この作用によって、しょうゆの品質は徐々に低下し、色が濃くなります。
これを防ぐには、日光の当たらない暗い場所、容器内の空気量 を少なくするなど気を付け、できれば冷蔵庫に保管して頂くようお願いします。

Q:しょうゆに栄養はあるの?

A:しょうゆには体に欠かせないアミノ酸が多く含まれています。
そのアミノ酸の中でもリジン、スレオニンは主食である米やパンにも含まれていない特に貴重なものです。

資料:海老根英雄・千葉秀雄共著 味噌・醤油入門より)

しょうゆの上手な使い方

和食に中華に洋食にどんなものにもピッタリの万能選手!!

 しょうゆは私たち日本人にとって非常になじみ深いものです。日常よく使うものには、濃口しょうゆと薄口しょうゆの二つがありますが、料理への使い方はかなり違います。
 濃口は香りがよいので、加熱する時に、初めから使用すると、香りがとんで、煮しめ臭くなってしまいます。そのため、煮しめる形のものには、火をとめる直前に少ししょうゆを補うと、煮物に香りが移って、風味のよい料理に仕上がります。また、いためものにも仕上がりにしょうゆを2~3滴落とすと、ぐんと香りがよくなります。この場合、熱くなった鍋肌に伝わらせてしょうゆを入れると、少し焦げた香りがいちだんと料理の味を引き立てます。
 薄口しょうゆは煮るためのしょうゆといってもよいでしょう。そのために、材料の風味が落ちないように、また香りがとばないように、色、味、香りが抑えてあります。煮物のときは、初めから薄口しょうゆを入れて煮ると、煮ている間に風味が増してきますが、見た目の色の薄さから、つい多く使いすぎるきらいがあるので注意しましょう。薄口しょうゆはその名前に反して、塩分は濃口しょうゆより高いのです。この塩味の強さをまろやかにするために、煮ものの場合など、みりんとだし汁を充分に使用する必要があります。
 つけじょうゆとしては濃口しょうゆがよく、薄口は塩辛いので適しません。
 しょうゆはそのほか、ドレッシングやマヨネーズに加えたり、吸いもの、あえもの、などに、しょうゆの香りを生かして使いましょう。
合わせ調味料一覧表

便利な万能だれと調理醤油の割合と使い方(大さじ、小さじの指定のないものは割合を示します)

そばのつけつゆ
しょうゆ ……1
みりん ………1
出し汁 ………4
★MEMO
 そば、うどん用のつゆの基本。そうめん冷や麦にも使うが、めんを水につけて出すときは、出し汁を少し控えめにする。 しょうゆは濃口でも薄口でも どちらでもよいが、薄口は色にまどわされて入れすぎないよう注意。
そば、うどんのかけ
しょうゆ ……1
みりん ………1
出し汁 ………8
★MEMO
 そば、うどん用のつゆの基本。そうめん冷や麦にも使うが、めんを水につけて出すときは、出し汁を少し控えめにする。 しょうゆは濃口でも薄口でも どちらでもよいが、薄口は色にまどわされて入れすぎないよう注意。
煮込みうどん
しょうゆ ……1
みりん ………1
出し汁 ………10
★MEMO
 そばのつけつゆに比べて出し汁の量は2倍。倍も味が薄いことに注目。関西風にするなら薄口しょうゆや白しょうゆをやや控えめに使い、色を淡く仕上げるとよい。冷蔵庫でも2~3日はもつので、多めに作ってもよい。
冷やし中華そば
酢  ………大さじ3
しょうゆ …大さじ4
砂糖 …大さじ1~2
ごま油  …小さじ1
スープ …カップ1/2
★MEMO
 スープは湯にコンソメ1/2個を溶かして使うが、急ぐときは水でもよい。酢を加えることとごま油で風味をつけることが特徴。中華そばだけでなく、ビーフンや春雨にかけても美味。
おでんのつゆ
しょうゆ …カップ1/2
酒  ………カップ1/2
出し汁 ……カップ10
★MEMO
 1:1:20の割合。おでんの味はとり合わせる具によっても左右される。多く使われる練り製品は以外に甘いので、砂糖やみりんを控えること。色を白く仕上げたいときは、しょうゆの一部を塩少々にかえるとおいしくなる。

寄せ鍋のつゆ
しょうゆ …大さじ3
みりん ……大さじ1
酒  ………大さじ2
出し汁 ……カップ5
★MEMO
 なべの大きさで材料の量が変わるので、この割合をベースにふやしていくとよい。入れる具や好みにより、塩少々足してもおいしい。魚介類中心のなべや、酒の肴にしたいときは、甘めよりも辛めの味が合う。

焼き肉のたれ
しょうゆ …カップ1/2
砂糖  ……大さじ4
酒  ………大さじ1/2
こしょう …少々
★MEMO
 上記の調味料をベースにしていり白ごま小さじ2、長ねぎのみじん切りを少々加える。こくのある複雑な味わいが好みならおろしにんにくやりんごを加えるとよい。豚肉、牛肉などよく合っておいしい。
焼き鶏のたれ
しょうゆ …大さじ5
みりん ……大さじ5
砂糖  ……小さじ1~2
★MEMO
 小なべに調味料を入れて火にかけ、3~4割煮詰めてから使う。夜気鶏のたれのほか、あなごのたれ、うなぎのたれとしても利用できる。肉やレバーをつけ込んで焼いても美味。たれは煮かえせば2~3度は使えるので、多めに作るとよい。
天つゆ
しょうゆ …カップ1/4
みりん ……カップ1/4
出し汁 ……カップ1
★MEMO
 そばのつけつゆと調味も割合も同じでよい。好みで砂糖一つまみ加えても美味しい。まずなべにみりんを入れて煮きってから、しょうゆと出し汁を加える。てんつゆは1人分カップ1/4が適量 。あさつきや大根おろしの薬味もたっぷり添えて。
丼ぶりもののつゆ
しょうゆ …カップ1/4
みりん ……カップ1/4
出し汁 …カップ1と1/4
★MEMO
 1:1:5の割合と覚えるとよい。1人分カップ1/2強を目安に作るとよい。卵でとじるときはつゆの量 を少し多めにしたほうが美味。てんつゆのときと同じように、まずなべにみりんを入れて煮立て、アルコール分をとばして使うこと。
梅だれ
しょうゆ …小さじ1
みりん …大さじ1/2~1
酒  ………大さじ1
出し汁 ……大さじ3
塩   ……少々
梅肉  …梅干し大2個分
★MEMO
 梅肉は細かくたたいて調味料と合わせる。青じそのみじん切りをまぜても。ゆでた鶏や豚、和風サラダ、水ギョーザ、各種なべ物に。
辛みみそだれ
しょうゆ  …大さじ1
砂糖  ………大さじ1
みりん  ……大さじ1
みそ(信州)…大さじ3
レモン汁  …大さじ2
豆板醤  ……小さじ1
★MEMO
 ねりごまを大さじ1程度加えても。蒸し鶏、ゆで豚ゆで野菜(じゃがいも、カリフラワーなどに)。ゆでワンタン、水ギョーザにも。
ごましょうゆ
しょうゆ ……
   大さじ1と1/2~2と1/2
砂糖  ……大さじ1~2
ごま  ……大さじ5
★MEMO
 ごまは好みで白でも黒でもよいスリかげんも好みに合わせる。ごまをいってすり、調味料でのばす。
からしじょうゆ
しょうゆ ……大さじ3
溶きがらし …小さじ2
砂糖 …………小さじ1
★MEMO
 大人向きの味だが、野菜、酢締の魚、肉やハムなどなんにでも合う。溶きがらしと砂糖を合わせた中にしょうゆを少しずつ加える。
ポン酢
しょうゆ …1
レモン、ゆず、だいだいなどの絞り汁 ……1
★MEMO
 好みのかんきつ類を絞るとよい水炊き、ちりなべなどには欠かせない。ムニエルや焼き魚、フライなどにかけてもよい。
にんにくじょうゆ
しょうゆ …適量
にんにく …適量
★MEMO
 皮をむき2つ切りか4つ切りにしたにんにくを1日つけこめばできあがり。ゆで豚をはじめギョーザやかつおのたたきなどにしょうゆのかわりに使ったり、 鶏の唐揚げや肉料理の下味に利用したり。また、チャーハンや麻婆豆腐、ハンバーグなどの隠し味にするとさらに風味が増しておいしく仕上がります。にんにくは、みじん切りにして炒めものなどに使うと豊かな味わいに。

しょうゆの豆知識

しょうゆにはこんなパワーもあるんです!知っ得情報!

しょうゆの殺菌パワーの秘密

食中毒も気になりだすこの季節… しょうゆに驚異の殺菌力があるとしたら?
今まで以上に安全でおいしく料理ができますよね。 その秘められたパワーを実感してみて下さい。

【なぜしょうゆに殺菌力があるのか?】

 「食塩がはいっていることによって、醤油醸造に関係のない雑菌が死滅。醤油の(塩分の)中で増殖できる乳酸菌や、酵母だけが発酵しておいしい醤油ができる。」
 (舘 博 助教授/東京農業大学短期大学部醸造学科)

 殺菌力の強い塩。醤油の中の塩分は嫌われがちですが、醸造の過程ではとても大事。塩が、雑菌を落とし、醤油の バイオパワーを育て、腐ってしまうのを防いでいたのです。

【しょうゆを支える3つの微生物】

「醤油は、麹菌と、乳酸菌と、酵母による共同作業によってできる調味料で、宝の宝庫。」
 (舘 博 助教授/東京農業大学短期大学部醸造学科)

まず麹菌が大豆と小麦を分解して栄養分(もろみ)を作る。その栄養分を食べて育つのが、乳酸菌と、酵母。この微生物たちが、およそ半年以上せっせと働き、醤油独特の味と香り、そして不思議なパワーを生み出しているのです。

【微生物が作り出すバイオな調味料、しょうゆ】

「醤油の殺菌力には、大きく分けて3つの要素がある。

  1. 食塩による殺菌
  2. 乳酸菌の酸による殺菌
  3. 酵母のアルコールによる殺菌
この3つが合わさって醤油は強い殺菌力を持っている」
 (舘 博 助教授/東京農業大学短期大学部醸造学科)

研究の結果、赤痢菌やチフス菌、O-157など病原菌や食中毒菌を死滅させることがわかっています。塩に守られてできた醤油が塩を超える驚異の殺菌力を持ったのも、すべて醤油の中の3つの微生物のパワーによるものです。

【しょうゆのリフレッシュ効果 を使って】

醤油のなかに含まれる乳酸のリフレッシュパワーを利用して「ブリの醤油洗い
焼く前に15分程醤油につけるだけで、生臭みがとれ味が蘇る
● 魚の下ごしらえに醤油を使えば、おいしさもグレードアップ「醤油味の和風ドレッシング
野菜や果物の中のビタミンCのような、弱酸性で安定な成分を破壊から守る

これがしょうゆのおいしさと殺菌力の秘密です。以上の事を上手に料理に利用してみてください。
「発掘!あるある大辞典」から引用

しょうゆの原料

  しょうゆは古来植物性のものだけを原料として使用し、動物性の原料はいっさい使用していませんでした。このことは現在に至るまで依然として受け継がれています。
しょうゆの原料はとてもシンプルです。大豆・小麦・食塩、この3つで作られます。しょうゆ麹の原料は、大豆と麦がその二本柱となっています。
 大豆にはたんぱく質がたくさん含まれていて、畑のお肉と呼ばれるほど栄養があります。このたんぱく質は、しょうゆがつくられていく過程で微生物の作用を受けてしょうゆ特有のうま味や色の成分に変化します。一方、小麦はでん粉を多く含み、主に、しょうゆの香りをつくり出す原料として使われます。

大豆の豆知識
大豆の起源

 大豆は東アジアの河川流域に広く自生する「ツルマメ、ノマメ」などの天然の大豆から分化し人々に栽培されるようになりました。中国東北部を源とする食用大豆の歴史は非常 に古く4000年ぐらい前より栽培されていたと、2600年前の文献に記されています。 ヨーロッパへは18世紀はじめに伝わり、アメリカへは19世紀初頭、ペンシルバニアで試作されたのが最初です。大豆栽培が世界中に広まったのは20世紀になってからで、ブラジル、アルゼンチンなどの南米大陸やカナダなどにも伝播しました。
 日本では縄文時代の遺跡から大豆の炭水化物が出土していることなどから朝鮮半島を経て2000年くらい前に伝播したといわれています。

大豆の生産地

 大豆の産地はアメリカが最大で、世界の生産量の50%を占めています。その他にはブラジル(20%)、アルゼンチン(10%)、中国(10%)などがあります。日本の大豆は、最近稲作転換作物として大いに力を入れられているが、依然国内消費の数%に過ぎず、その用途も自然豆腐、納豆、みそなどに限られています。

脱脂加工大豆

 大豆はその成分のうちでたんぱく質がもっとも重要です。良い大豆の条件は、新鮮で、 虫食いがなく粒の大きさが一定。水分含有量が10~13%のものとされています。大豆にはその他に多量 の油脂が含まれています。
 古くはそのまま、つまり丸大豆で使用されていましたが、第2次世界大戦の戦中戦後の 原料事情の悪化により、脱脂加工大豆が使用されるようになりました。しかし、その後も ほとんどのメーカーで脱脂加工大豆を醤油原料として使い続けています。
理由として…

  • 丸大豆の油脂は醸造の過程で変化を受け、しょうゆと称して搾った後でもその上部に油脂が浮かんでいるため。
  • 丸大豆の油脂は醸造の過程で変化を受け、しょうゆと称して搾った後でもその上部に油脂が浮かんでいるため。
  • 脱脂大豆と丸大豆の本質的な差は脂肪含有量だけで、その他の成分は変わらないので醤油製造技術の進んだ現代では、丸大豆を用いる醤油とくらべてほとんど変わらない醤油ができるようになった。

 豆を油脂とその他の成分に分離するのが圧搾または抽出の工程ですが、その他の成分 で最も大切なものがたんぱく質であり、しょうゆの原料の他、飼料や肥料としても使用さ れます。「脱脂加工大豆」と称されるものは、粒度を揃えるための一工程が加わり、しょ うゆの原料として使用され、流通面でも別個に取り扱われています。
 (資料:海老根英雄・千葉秀雄共著 味噌・醤油入門より)

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